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Net Audio×groovers+ おすすめアルバムレビュー 第19弾! 2018.02.02

神保 彰

Hi-Res Icon  96kHz/24bit

毎年恒例の2作同時リリース、今年はラテン&アーバン

毎年1月1日に、タイプの異なる2作アルバムを同時にリリースしている神保彰。今年もやってくれました。昨年は個人名義作とブライアン・ブロンバーグと組んだJBプロジェクトの2作品でしたが、今年は「22」「23」と題した2作品をリリース。番号は22ndアルバムと23rdアルバムの意味。この1年間に書きためた曲から厳選して収録されている。
神保彰といえば、凄腕のミュージシャン揃いで知られたカシオペアのドラマーとしてデビュー。テクニカルな演奏で多くのファンを魅了し、活動休止後も「ワンマン・オーケストラ」やソロ作など精力的な活動を続けている。1月に2作同時リリースというのも何年も続いた「お約束」で、心待ちにしていた方も少なくないだろう。
神保彰本人も、ハイレゾでのレコーディングを積極的に手がけており、かなり音にはこだわりがあると聞く。今回もLAレコーディングというが、実際に聴いてみると、音の鮮度の良さ、パリっとしたエッジの立ったニュアンス感はさすがと言う他ない。「22」はご機嫌なラテンナンバー、「23」はアーバンな楽曲というのがコンセプト。「22」のオススメは、哀愁漂うピアノが面白い「Tango Del Sol」。しかしやはり神保の手数の多さには驚かされる。決して早いだけではなく、音楽を確実に支えるリズム感、そして細やかな表現力。熱気溢れる(あるいはちょっと汗臭い?)「22」に続けて聴く「23」は、まるで爽やかな清涼感ある風が吹き抜けるよう。ぐっと洗練された大人のジャズフュージョンといった趣で、まったく異なる表情の神保彰を楽しめる。お気に入りは1曲めの「マイティー・ムーン」。沈み込むベースの低音、コロコロ響くピアノ、ゲスト参加のティム・ボーマンの粘り気あるギターと、すべての楽器を生き生きと捉える録音が素晴らしい。繰り返し聴きたくなるというか、9曲め「ドリーム・ウォーク」から1曲め「マイティー・ムーン」に再び帰るような、その繋がり感もまた心地よい。

 

 

 

水樹奈々

Hi-Res Icon  48kHz/24bit

T.M.Revolutionとのデュエット曲は必聴

水樹奈々の(意外や意外)初のハイレゾアルバムがリリースになった。「THE MUSEUM Ⅲ」として、話題のアニメ主題歌を中心とした16曲入りの豪華ベストアルバム。「リリカルなのは」や「戦記絶叫シンフォギア」など、どこから聴いても「水樹奈々様!」と感じられる充実度満点のアルバムで、エレクトロを主体としたアップテンポ楽曲が多め。フォーマットが48kHz/24bitと少し低めだが、個人的にこれはハイレゾで聴きたい!と思っていたT.M.Revolutionとのデュエット曲「Preserved Roses」と「革命デュアリズム」が嬉しい。二人のハモりの心地よさがたまらない楽曲だが、ハイレゾで聴くと鳥肌が立つような二人の歌唱力に改めて圧倒される。呼吸の間合いの取り方では二人の相互リスペクト感が見えてくるようだし、掛け合いパートでは、ヴォーカルの入れ替わりが立体的に眼前に展開される。声域のひろい彼女だが、高域が綺麗に伸びるシステムがぜひオススメ。

 
 

globe

Hi-Res Icon  96kHz/24bit

改めて聴くKEIKOの声に胸が締めつけられる

先日、引退を発表した小室哲哉。介護や家族のあり方といった、いまの日本が抱えるさまざまな問題を浮き彫りにするような記者会見は非常に大きなインパクトを与えたが、そのことが、小室哲哉という音楽家の才能と生み出してきた作品の価値をいささかでも毀損するものではあってならないと、いち音楽ファンとして強く願う。本作は、globeの15周年ベストアルバムであり、マスターデータ(多くはアナログテープ)から96kHz/24bitのハイレゾファイルとして新たに制作されたもの。この曲が発売された当時、こんな未来が予見されていたなんてことはありえないのだけれど、「Perfume Of Love」や「Face」など、抽象的で解釈をどこか読者に委ねるようなところがある小室哲哉の歌詞を、今改めてKEIKOの声で聴くと、胸が締めつけられる思いがする。シンセサイザーの粒立ち、KEIKOの声の広域の伸びやかさなどはハイレゾでさらに際立ってくる。

 

 

 

福井敬(テノール)/アントネッロ

Hi-Res Icon  96kHz/24bit

不思議な色気と艶に溢れたバロック楽曲集

まずはジャケ写だけを見てUターンしないでください。日本が誇るテノール歌手である福井敬と、古楽アンサンブル、アントネッロが描き出す初期イタリアバロック音楽集。とここまで言ったところでなおUターンされてしまいそうですが、これがなかなか面白いんです。まず曲目が面白い。「こんなふうに僕を軽蔑して」「きみの自由を奪った男」「美しい瞳が私を殺す」……えっと、イタリア人ってダメンズなの?? 歌詞はイタリア語っぽい響きですが、時代を考えるとラテン語かもしれません。ストーリーはまったく分かりませんが、タイトルから物語を想像するのもまた良し。バロックというとどうしてもとっつきにくいイメージがありますが、福井敬の声には不思議な色気と艶があって、ぐいぐい引き込まれる魅力に溢れています。チェンバロやハープといった古楽器は、録音ではその本来の魅力が伝わりにくいところ。空気感まで捉えた録音にも注目です。

 
 
ドイツ・グラモフォン ベスト・オブ・ベスト HD

ヴァリアス・アーティスト

FLAC Icon  96kHz/24bit

肩肘張らずに音楽との出会いを楽しめる

今年で創立120年を迎えるというドイツの名門レーベル、ドイツ・グラモフォン。数多の名演奏を後世に残してきたDGの“美味しいところだけ”をパッケージングしたベスト作品集だ。それこそフルトヴェングラーからグスターボ・ドゥダメルまで、交響曲も室内楽もピアノソロもオペラも節操なく詰め合わせたアルバムなので、通して聴くときはボリューム調整に常に気を配ってないといけないのが難だけれど、これはこれで、非常に面白い試み。ひとくちに「クラシック」と言っても、膨大な歴史の蓄積と幅広いジャンルと楽器のヴァリエーションがあることが分かる。オーディオ的にはヴァイオリンソロの楽曲では繊細な倍音や胴鳴りを楽しめるし、交響曲では音の厚み、多くの楽器が重なり合うことによって生まれるハーモニーが面白い。聴き馴染みの曲も多いので、あまり肩肘張らずに、新しい音楽との出会いを楽しむつもりで聴いて欲しい。

 

 

 
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