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Net Audio×groovers+ おすすめアルバムレビュー 第18弾! 2017.12.27

ファジル・サイ&ニコラ・アルトシュテット

Hi-Res Icon  96kHz/24bit

肌を切り裂くような鮮烈なチェロの音

チェリスト、ファジル・サイとピアニスト、ニコラ・アルトシュテットのデュオ作品で、サイ作曲による「4つの街」を世界初録音した意欲的な作品。まだ30代〜40代という若手のコンビである。4つの街とは、サイの祖国、トルコの街(スィヴァス、ホパ、アンカラ、ボドルム)からとられているようで、楽曲からはアジアとヨーロッパの境目として、さまざまな歴史の波に翻弄されてきた都市の情景が浮かび上がってくる。エキゾチックな要素もありながら、どこかヨーロッパのクラシックの伝統を背負っているようでもあり、トルコという国の歴史がそのまま濃縮されたようなイマジネーションを掻き立てる。
とにかくその肌を切り裂くような鮮烈なチェロの音が印象的。ヘッドフォンだけで味わうのはもったいないと思えるほど、抜群に鮮度の高い音。冒頭から一気に緊張感を高め、そしてそれがずっと持続し続ける。楽器をかなり近くに感じる、非常に思い切った録音ではないだろうか。首都アンカラでは、戦が始まるかとも思えるおどろおどろしい叩きつけるような低音のピアノから始まって、人々を鼓舞するようなチェロが絡みつく。ひとつひとつの楽曲に、映画を思わせるような物語性があり、一気に引き込まれてしまう。この鬼気迫る「4つの街」をこれほどのクオリティで残していることに、まさにハイレゾの価値を改めて感じさせてくれる。
「4つの街」以外にも、ドヴォルザークのチェロ協奏曲、ヤナーチェクのおとぎ話、ショスタコヴィッチのチェロ協奏曲が同時に収録されている。こちらは音の録り方も比較的穏やかで、安心して聴いていられる。こちらも解像度高くリアルな音で、歌うようなチェロの音色が楽しめる。

 

 

 

中村愛(ハープ)

Hi-Res Icon  192kHz/24bit

弦楽器らしい弦を弾くニュアンス感が新鮮

このサイトが更新される頃にはちょっと季節はずれになってしまっていますが、ハープ奏者、中村愛のクリスマス曲集。ジングルベルや賛美歌など、クリスマスシーズンには何度も耳にするおなじみの楽曲集だが、キング関口台スタジオのハイスペック録音で収録されていることが特徴。ハープとはこんな音だったのか!と驚いてしまった。勝手なイメージで、もっと透明度の高い澄んだ音と思っていたら、意外と(?)しっかり低音も出るし、弦楽器らしい弦を弾くニュアンス感も新鮮。「ポロロンポロロン」みたいな単純な感じではなくて、倍音成分もしっかり含まれていて、ハープの音の響き感がよく分かる。これを人に聴かせて、何の楽器か当ててみて?と聞いても、正解できる人は少ないのでは?厳かな気持ちになれる賛美歌も良いですが、「赤鼻のトナカイ」を独自アレンジしたサウンドも作り手の遊びココロが面白い。クリスマス集なので年中聴くわけには行きませんが、ライブラリに入っていると楽しいかも。

 
 

東京フィルハーモニー交響楽団・三石琴乃・小坂明子・石田燿子・SUGURU(from TSUKEMEN)・寺下真理子

Hi-Res Icon  96kHz/24bit

ロマンチックな音楽で女子力アップ!!??

セーラームーンは、まさにドンピシャな世代なので、ヤバイのです。アニメも漫画もリアルタイムで追っていたので、「ムーンライト伝説」を聴くと、なんとも言えない恥ずかしさと懐かしさで胸がいっぱいになります。このアルバムは東京フィルハーモニーが2017年8月に東京芸術劇場で開催したコンサートの模様を収めたもの。思い入れが強すぎてマトモに音質評価ができる気がしませんが、TVアニメで見た、ときめいた楽曲の数々が、オーケストラアレンジで楽しめるというのは、なんとも言えない感動があります。「乙女のポリシー」は歌入りで、オケとのバランス感もgood。決め台詞の「ムーン・プリズムパワー・メイクアップ!」も“いい音”で聴くとなんだかとても勇気をもらえます。9曲目「ウラヌス&ネプチューン」のヴァイオリンの音がスゴイ!と思ったら寺下真理子さんで、非常に納得。

 

 

 

U2

Hi-Res Icon  96kHz/24bit

ドラムスの抜けの良さは聴きどころ

世界最強と言っても過言ではない、U2の最新アルバム「Songs Of Experience」。前作「Songs Of Innocence」(2014年)が、iTunesに無料で自動的にDLされてしまうという、ある意味音楽産業全体への挑発的な仕掛けを繰り出してきただけに、今作はふつーにCD&配信でリリースになったことは、安心と言うのか、拍子抜けというのか。
そして今回のアルバムですが、音のクオリティはさすがの安心感。一曲目「ラヴ・イズ・オール・ウィ・ハヴ・レフト」の広がり感ある音場表現から、ぐっと期待が高まってくる。オススメは6曲目「サマー・オブ・ラヴ」。哀愁あるメロディはボノの歌声で聴くと胸に迫るが、ギターの弦の質感やドラムスの抜けの良さなど、オーディオ的な聴きどころ満載。通常版13曲入りに加えて、デラックスバージョンには、ノルウェーのDJ、カイゴとのコラボ曲など4曲が追加されている。バリバリギターサウンドが光るロックのオリジナルと、よりエレクトロでダンサブルにアレンジされたカイゴ・リミックスの違いも面白い。

 
 
DSDで聴くBLUE NOTE

ヴァリアス・アーティスト

DSF Icon  2,822.4KHz

ブルーノート選りすぐりの名曲をDSDで

ブルーノートの名盤が、DSDで一挙に配信されて話題を集めている。以前からPCMでは配信されていたが、新たにアナログマスターに遡ってDSD2.8MHzにてデジタル化したアルバムが16作品。その中から、特に選りすぐりの楽曲を集めてコンピレーション・アルバムとしたのがこの作品だ。あまりにもベタすぎるといえばそれまでだが、ジャズに馴染みのない人でも間違いなく聴いたことがある楽曲ばかりで、さまざまなカバーが存在するなかで改めてオリジナルを一気に聴いてみるというのも、なかなか悪くない。DSDならではのサウンドの魅力をより強く感じたのは、「チュニジアの夜」「ソング・フォー・マイ・ファーザー」楽器の音にまとわりつくような濃厚な空気感を、DSDではより緻密に感じられる。「クレオパトラの夢」のピアノの軽快なタッチとベースとの掛け合いも、より実体的に展開される。この中から気に入ったアーティストを見つけたら、ぜひアルバム全曲を購入して楽しんで欲しい。

 

 

 
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