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Net Audio×groovers+ おすすめアルバムレビュー 第20弾! 2018.03.02

フィルハーモニクス

Hi-Res Icon  96kHz/24bit

古今東西の名曲をクラシックをベースに独自アレンジ

ウィーン・フィルとベルリン・フィルに在籍するミュージシャン達7人によるアンサンブルグループ、フィルハーモニック。ヴァイオリン×2、ヴィオラ、クラリネット、コントラバス、チェロ、ピアノという7人による編成で、世界でのトップクラスの演奏技術を持つ彼らが、さまざまなジャンルの名曲を独自にアレンジしたアルバムが発売されている。これがめちゃくちゃ面白い!公式サイトに「30%のクラシック、20%のジャズ、15%のフォーク、15%のポップ、15%のラテン、そして5%のいろんな面白いもの!をミックスして演奏している」とあるけれど、まさにその通り! ブラームス、サン=サーンスからエリック・サティ、ピアソラ、クイーンと選ぶ音楽ジャンルは節操なく(笑)、でもそれは決してバラバラではなく、「音楽を楽しみたい!」というひとつの情熱で繋がっている。決して技巧に走ることはなく、ベースはクラシカルでも、音楽ファンならば誰でも楽しめる親しみやすさがある。オリジナル曲もいくつか収録。「Der Hergott und die Geige(神とヴァイオリン)」のミュージカル映画のような物語展開も面白いし、低音の響きはオーディオ的にもかなり楽しめます。個人的に大好きなのはやっぱり「ボヘミアン・ラプソディ」に「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」。「ボヘミアン・ラプソディ」はバッハの有名なフレーズから始まりますが、気がついたらいつのまにかクイーンのあの曲になっている。それに気づいた時にはもう彼らのマジックにはまってしまっている。スティングの名曲は、オリジナルの孤独な男の背中が浮かぶアレンジも素敵ですが、少しアップテンポで観光旅行にやってきたようなお茶目な男の姿もまた、新しい魅力かも。ちなみに公式サイトの写真類もかなりお茶目。クラシックへのイメージをとても身近なものにしてくれる。

 

 

 

ゴーゴー・ペンギン

Hi-Res Icon  88kHz/24bit

ベースの低音を鮮度高く捉える

いまや勢いに乗るイギリスのジャズユニット、ゴーゴー・ペンギン。ピアノ、ドラム、ベースの3人で生み出される、都会的で洒脱なサウンドで、世界中で大ヒットを飛ばしている。今作「A Humdrum Star」はブルーノートからの2年ぶりのアルバムで、前作の世界観を引き継ぎつつもさらにそのサウンドをパワーアップさせている。音としてはやはりベースの「ゴリゴリと」あるいは「ギリギリと」したサウンドが聴きどころ満載。きらびやかなピアノの粒立ちにしっかりと絡みつき、弓と弦がこすれ合うその瞬間の音を鮮度高く捉えている。リズム感良く楽曲のテンポをキープしつつ、洒落たフレーズを忍び込ませるドラムのテクニックもGOOD。アルバムを一挙に聴き通してしまう一貫したストーリーの完成度の高さも素晴らしい。ジャズという枠組みを超えて、ダンスやエレクトロニカの要素も持った、まさに「最先端のジャズ」の美味しいところを味わわせてくれる。

 
 

ハクエイ・キム

Hi-Res Icon  88kHz/24bit

華麗な指さばきが眼前に浮かぶ

お名前から韓国人かと思いますが、実は日韓のクォーターで、日本育ち、シドニーで音楽を学んだというジャズピアニスト、キム・ハクエイ。渡辺貞夫のツアーに参加したり、Verveから韓国伝統音楽ユニットとアルバムを出したりと多方面で活躍している彼の6年ぶりのソロアルバム「レゾナンス」。実際に聴いてみると非常に音色の幅の広いアーティストという感じで、パワフルなインプロヴィゼーションから、しっとりと歌い上げるような美麗メロディまで、難なく弾きこなしている。是非聴いて欲しいのは「テイク・ファイブ」。オーディオファンにもおなじみのあの曲ですが、このピアノアレンジは斬新。ジャズをバックボーンに持ちつつも、さまざまなトラディショナルからのエッセンスを取り入れたサウンドにハッとさせられる。本人も「音の響き」を非常に大切にしていると語る通り、ハイレゾではピアノの余韻感が秀逸。華麗な指さばきも眼前に目に見えるよう。

 

 

 

竹原ピストル

Hi-Res Icon  96kHz/24bit

魂のほとばしり出る現代のブルース

最近にわかに注目を集める竹原ピストル。めちゃくちゃ悪そうな風貌ですが、きらめく音楽の才能、歌詞の才能は本物。そしてそれはすこししわがれた声で歌われると、強烈なメッセージ性が生まれる。この曲は配信限定シングル「ゴミ箱から、ブルース」。決してハイファイなサウンドではないし、どちらかというとくぐもったようなサウンドづくりがされているけれど、だからこそ伝わる強力なパッション。なんども繰り返される「ブルース」の言葉、唇からこぼれ落ちる、竹原ピストルにしか歌えないそのニュアンス感。シングル1曲に540円は高いような気もしますが、できればハイレゾでこそ聴いて欲しい。ちなみに、配信限定でリリースされている「Amazing Grace(Live Ver.)」もオススメ。ギター一本と声ひとつだけで、こんなにも心揺さぶる音楽が作れるのかと、感動を覚えます。ライヴヴァージョンですがこちらも音質良好で、竹原自身の感情の高ぶりまで伝わってきます。

 
 
Steve Reich: Pulse / Quartet

Steve Reich

FLAC Icon  96kHz/24bit

ミニマル・ミュージックの代表者とも言われるスティーヴ・ライヒ。

現代音楽の巨匠たる彼の新曲「Pulse」と「Quartet」の2曲が世界初録音として登場した。ずっと聴いているとだんだん幽玄の世界に連れて行かれるような、どこか浮世離れした独特の世界観が良好な音質で楽しめる。一度向き合ってしまうともう抜け出すことを許さない高い緊張感が楽曲全体を包み込み、トランス状態をもたらしてくる。3楽章からなる「Quartet」は2台のピアノと2つのパーカッション(ヴィブラフォンっぽい)という変則的な編成だが、きちんとしたオーディオでそれぞれの楽器の位置関係が見えてくると、ぐっとライヒの「表現したかったもの」が見えてくる。ピアノというのは打楽器の一種であり、そう考えるとこの曲は「音階を持つ4つの打楽器」のアンサンブル。「叩くと音が出る」という原始的な動物的な欲望を掻き立てながら、それを洗練された理知的な“音楽”として構築していく。理性と本能の狭間で生きる「人間」とは?という問いへの彼なりの答えかもしれない。

 

 

 
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