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Net Audio×groovers+ おすすめアルバムレビュー 第16弾! 2017.11.01

サラ・オレイン

Hi-Res Icon  96kHz/24bit

映画音楽の名曲をサラ独自のアレンジで展開する

サラ・オレインが歌う映画音楽名曲セレクション!もうそれだけで期待が高まる。以前からミュージカルや映画にも非常に高い関心を示してきたサラ・オレインだけに、思い入れもひとしおのものであると感じられる作品集。まさに「サラにしか紡げない」素晴らしいアルバムになっている。
登場する楽曲は『レ・ミゼラブル』『美女と野獣』『ニュー・シネマ・パラダイス』『ラ・ラ・ランド』と、名作映画から最新作と幅広く、そして映画好きなら一度ならずとも見たことがある、聴いたことがある名曲のオンパレード。『007メドレー』では、“あの”テーマソングから「スカイフォール」へとメドレーで繋ぐアレンジも見事。『白い恋人達』では素晴らしいフランス語のアクセントを披露し、『美女と野獣』では、オリジナルシンガー、ピーボ・ブライソンと息のあったデュエットを聴かせる。そしてもちろん、歌声だけでもなくヴァイオリンの腕前も披露。ラストの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」(from『ボディガード』)まで、どこも飽きさせることなく、このアルバム自体がひとつの映画であるかのように構成されている。
サラの声質は1/fの揺らぎや、その透明感の高いハイトーンヴォイスが注目されることが多いが、実は彼女が低い声で歌う時の表現力も、独特の迫力がある。そしてハイレゾでは、その声の細やかな表現力を、より深く感じ取ることができる。長く息を伸ばした時の消えぎわまで丁寧に捉えた録音、唇の動きまで眼前に浮かぶかのような実体感、それらはハイレゾによって、より肉感的なものとして再生される。一見冷ややかな印象すら与える彼女のなかに潜む熱いパッションまでもあばきだすようなサウンドで、まさにハイレゾで聴くべき価値のあるアルバムである。

 

 

 

上原ひろみ,エドマール・カスタネーダ

Hi-Res Icon  192kHz/24bit

ピアノとハープの掛け合いが絶妙

世界をまたにかけて活躍するジャズ・ピアニスト、上原ひろみの最新アルバムは、天才ハープ奏者エドマール・カスタネーダとの共演作品。
コロンビア出身のカスタネーダは、ハープという楽器の常識を覆す超絶テクニックの持ち主で、このアルバムは今年6月にカナダのモントリオール・ジャズ・フェスティヴァルで行われたライヴを収録したもの。
とにかくその熱気がすごい。上原ひろみのピアノは、その音数の多さ、そのダイナミックさで超絶なエネルギーを発しているが、そこにハープという楽器が加わることで、どこかエキゾチックな不思議な世界観が炸裂する。ライヴ盤なので拍手や掛け声なども入っているが、そのリアリティも格別。「スターウォーズ エピソードⅣ」で使われた「カンティーナ・バンド」(酒場の音楽)のアレンジはめちゃくちゃ面白い!ハープがベース的にリズムを刻んだり、華やかなソロを演じたり、音質も優秀で楽器の音色の多彩さを余すところなく捉えている。

 
 

ピエール・フルニエ,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,ジョージ・セル,アルフレッド・ウォーレンスタイン

Hi-Res Icon  192kHz/24bit

チェロ録音のお手本のような演奏

20世紀を代表する偉大なるチェリストの一人、ピエール・フルニエ。彼がドイツ・グラモフォンに遺したドヴォルザークとエルガーのチェロ協奏曲がハイレゾで配信となった。
ドヴォルザークは1961年の録音で、ライヴではなくセッション録音の模様。ドヴォルザークのどこか哀しみにも満ちた旋律を、フルニエが華麗に紡いでいく。まるでチェロ録音のお手本のような、とでも言いたくなるような一部の隙のない演奏が収められている。壮大なオーケストラを背景にチェロが一歩もひるむことなく、サウンドステージの中央に鎮座する様はまさに圧巻。ジョージ・セルの端正な指揮テクニックにも聴き惚れてしまう。
エルガーの協奏曲では、まさにチェロの胴の響きまで感じられるような、リアルで生々しいサウンド。当然テープ録音だっただろうが、これほどの演奏を50年以上たったいま、細部まで見通せるハイレゾで聴けることはたまらない幸福だ。

 

 

 

Cheryl Fortune

Hi-Res Icon  44kHz/24bit

自立した女性へのメッセージを歌う

こちらを意志の強い視線で見つめる表情が印象的なシェリル・フォーチュンの1stアルバム。
日本語の情報が全然見当たらないのですが、もともとJames Fortune & FIYAというアメリカのゴスペル・グループ(グラミー賞の受賞経験もあり)の楽曲制作に協力しており、今年1月にシングル「Fighters」でソロデビューしたばかり。ということで新人アーティストですが、レコーディング、ツアーともにキャリアはかなり積んできているようです。ジャンルとしてはゴスペルになるようですが、メロディーはキャッチーでR&Bやヒップホップの要素も含まれており、個人的に感じるイメージは「安室ちゃん」。
James Fortune(元夫)にDVを受けていて、そこから立ち直り女性たちへ自立への強いメッセージを発しているという背景もあるとのこと。音域もかなり幅広く歌いこなすシンガーなので、今後の活躍も楽しみ。

 
 

身体の調子を整えるハイレゾの可能性

レコーディングやハイスペック(384kHzや32bitなど)音源の制作で知られるVIVID PRODUCTIONから、風変わりな2作品が配信されている。自律神経に優しい、と名付けられた「コオロギ」と「ウインド・チャイムとピアノ」の2作品。
ストレスの多い現代社会に置いて、ハイレゾの力で身体をリラックスさせ、不調をあらかじめ予防しよう、という考え方のようだ。音楽は、耳だけで聴くものではない。肌感覚としても感じられるもので、その意味でもハイレゾは“からだによい”と考えることに、一定の意味はあると思える。
ここではDSD2.8MHzの音源を配信。実際に聴いてみると、ふっと体の力を抜いて音に身を任せたくなるような柔らかさがある。コオロギの方は、あまり音量をあげて聴くと、すぐそばに虫がいるかのような生々しさで、逆に落ち着かない方もいるかも。その場合はぐっとボリュームを下げてかすかな虫の声に耳を傾けよう。

 

 

 
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