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Net Audio×groovers+ おすすめアルバムレビュー 第10弾! 2017.04.05

編集部のハイレゾ担当者が選ぶ今気になる作品をご紹介!!Net Audio×groovers+ おすすめアルバムレビュー 第10弾!

 

 

東京キネマ・ジャズトリオ

DSF Icon 5,644.8KHz

映画のテーマソングをクオリティ高くジャズアレンジ

映画音楽が大好きな私としては、映画を彩る名曲達をジャズアレンジした東京キネマ・ジャズトリオのアルバムは極上のご馳走!
東京キネマ・ジャズトリオはジャズドラマー、大坂昌彦の呼びかけで集まった3人組でのレコーディングだが、今作は3作目になるが毎回(大坂さんをのぞく)メンバーは入れ替わるという特殊な編成。しかも、DSD11.2MHzの最先端スペックでのレコーディング、そのマスターから作られたDSD5.6MHzとFLAC192kHz/24bitがgrooversでは配信されている。前作の「ジャズ・シネマ・ファンタジー」のボーナストラック「チェンジ・ザ・ワールド」は個人的にも試聴レファレンスとしていて、音楽的にも録音的も素晴らしい内容だっただけに、その続編として期待が高まる。
今作は“ノスタルジア”とタイトルにある通り、1960年代の映画黄金期の作品を中心に、幅広い年代の映画作品からセレクトされている。特に推したいのは、3曲目の「ひまわり」。1970年公開のイタリア・フランス・ソ連による合作映画で、戦争により無残に引き裂かれた恋人達の悲恋が物語の主軸となる。もうこのテーマソングを聴くだけで一面のひまわり畑が脳裏に浮かび、涙が止まらなくなる名作映画。これをどうアレンジしてくるのか、と思ったら、“泣きのメロディ”をピアノ主体で軽やかに展開。しかし、そこに存在感確かに入るベースが一筋縄ではいかないアレンジを演出。そして最後は怒涛のドラムソロ。映画音楽の懐の深さと、ジャズはここまで自由なのかと感じさせてくれる楽曲となっている。全体を通して遊びココロのあるアレンジでありながら原曲へのリスペクトも深く、映画ファンにもおすすめ。
ちなみに、今回このアルバムのDSDバージョンとCDクオリティ音源を聴き比べたのだが、圧倒的に「DSDの勝利」。臨場感、楽器の存在感、すべてがDSDの方が上。これは近すぎるのでは!と感じるほど楽器の音像がクリアで、かぶりつきで舞台を見ているような生々しさ。できればDSDフォーマットで、現代ジャズの真髄はここまできている、というところを聴いてほしい。
さらに、前回に引き続き、ハイレゾ限定でボーナストラック「シェルブールの雨傘」を収録。カトリーヌ・ドヌーブファンの私はこの曲も涙なしには聴けません。

 

 

 

坂本 龍一

Hi-Res Icon 96kHz/24bit

坂本教授の8年ぶりのオリジナルアルバム

坂本龍一のハイレゾアルバムは『千のナイフ』の2016リマスター版や『Playing the Orchestra』のDSDリマスター版(オノセイゲンがマスタリングを担当)など、多数リリースされているが、新作がCDと同時に配信されるのはおそらく初。
現在東京のワタリウム美術館で今作の世界観を解説するインスタレーション「坂本龍一 | 設置音楽展」が行われているということだ(5月28日まで)。
確かに聴き始めると、いわゆる現代音楽的な、静謐で不可思議な世界観に包み込まれる。「音楽とは?」という実験の極限に放り込まれたような、スピーカーと向き合っているのに、なんだか自分だけが世界と隔絶されてしまったような、試聴を超えた「体験」。「walker」はガサガサと落ち葉をふみしめる人の足音のような音で始まる映画のような展開で、さながら幽玄の世界へ誘われるよう。音楽の特性もあるだろうがS/Nが抜群によく、無音部すら音楽の一部として感じられる。己のイマジネーションを研ぎ澄まし、真剣に向き合いたい作品だ。

 
 

アンドレア・バッティストーニ指揮/RAI国立交響楽団

Hi-Res Icon 96kHz/24bit

ダイナミックレンジ豊かにオーケストラを鳴らす

イタリアの鬼才指揮者、アンドレア・バッティストーニの最新レコーディングは、チャイコフスキーの5番。今年30歳になるばかりの若手指揮者ながら、すでに大物の貫禄すら漂わせており、昨年より東京フィルハーモニーの首席指揮者に就任。録音は日本コロムビアの塩澤利安氏が担当、驚くべきペースでリリースを重ねている。
なんといってもバッティストーニの指揮の魅力はその「ダイナミックさ」。ハイレゾはダイナミックレンジをCDより広く取れるところに大きなアドバンテージがあるが、そのアドバンテージを最大限に生かし切る勢いある録音が楽しめる。
冒頭のダークなサウンドはどこまでも沈み込むように深く、金管楽器は色鮮やかに、オーケストラを指先で操るその姿が目に浮かぶよう。そしてなによりもロマンティック。ロマンティックすぎる・・・という声もありそうだが、イケメンはどんな世界でも宝。名盤が数あるチャイコフスキーだが、バッティストーニと東フィルが繰り出す官能的なサウンドに時間を忘れて浸りたい。

 

 

 

土岐麻子

Hi-Res Icon 96kHz/24bit

21世紀の東京を切り出したようなリアリティ

等身大の歌詞と、洗練されたシティ・ポップサウンドで注目される土岐麻子の最新アルバム「PINK」がハイレゾでも発売となった。
プロデューサーにトオミヨウ氏を迎えて作り出されたエレクトロニックなサウンドイメージと、土岐麻子自身が手がける歌詞の「生々しい」世界観のマッチングに、びっくりしつつも聴き込んでいくうちにどんどん引き込まれてしまう。
特に表題作「PINK」は、19歳の「大人になりきれない」女性が都会で生きる孤独を歌詞にのせ、軽やかに歌われるメロディラインの裏に秘められた孤独感がより浮き彫りになる。
ハイレゾで聴くと、やはり土岐麻子のヴォーカルの存在感が圧倒的。打ち込み主体のバックサウンドと優雅に融けあいながらも、しかし一体感が高く、細かなサウンドのこだわりまで見えてくる。冒頭も含め街のざわめきをサウンドとして取り込んでいるところも面白く、21世紀の東京を切り出したようなリアリティがある。現代的であるがゆえに普遍的な魅力を持つヴォーカルアルバムとして、長く愛されるアルバムになるのではという予感を感じる。

 
 

AQUAPIT

Hi-Res Icon 96kHz/24bit

肩肘張らないダンサブルなジャズ

オルガニスト金子雄太を中心にした日本のジャズグループ、AQUAPIT。20周年となる今年から、金子のソロユニットとして新たに生まれ変わったという。レーベルのT5Jazz Recordsは、小沼ようすけや類家心平といった若手ジャズメンのアルバムを多数リリースしている気鋭のインディーレーベルで、音質的にもかなりこだわった作品をリリースし続けている。
今作は、金子のオリジナルナンバー5曲と、カバー3曲で構成。アルバムタイトルはDance with Ancients=古代人とのダンス?となかなか意味深。ジャケットも古代人のような宇宙人のような不思議な人物像が描かれているが、音楽の中身はダンサブルな現代ジャズ。肩肘張らない自由な雰囲気が心地よいが、個人的に一番かっこいいと思ったのは「The Baby Boomers」。
タイトルはおそらく団塊の世代、金子にとっての両親の世代でもあり彼らへのメッセージ的な意味合いもあるのかもしれないが、ほろ苦いカクテルを味わったような、甘さの中にほんのり毒を仕込ませたようなサウンドが癖になる。ハイレゾはオルガンの「柔らかさ」がgood。

 

 

 
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